久世の銘柄分析
- 2016/06/27
- 22:37
イギリスがEUから離脱することが決まり、円高傾向がより強くなったので、
週末に円高メリット株を探していまして、手垢が全くついていない久世をチョイスし、本日買いました。
久世は外食企業向けに食材を卸している、食品専門商社です。
久世をチョイスした理由は2つあり、
1つは円高による業績急回復中であることです。
最下部の四半期別決算をみると、2016年の第2四半期から円安による原材料高が販売価格に転嫁できてきて、
さらに円高によって業績が急回復しているのがわかると思います。
2つ目は手垢がついていないこと。
円高が進む中でDVXやABCマート、ニトリも検討しましたが、
円高メリット株であることが周知の事実になっており、
金曜日に大きく下落しなかったため、手垢のついていないピカピカの久世をチョイスしました。
それでは売上、利益を見ていきます。
売上は大方右肩上がりです。
2016年売上が下落しているのはモンテローザとの契約を切ったからです。
モンテローザとのビジネスは価格が厳しく、また在庫や物流にも問題が多く、赤字が続いていたため、
値上げ交渉を一年以上行ってきたが、折り合いがつかなかったため両社合意の元、
2016年1月に契約を切った、とのことです。
モンテローザ向け
2015年度売上:97億
非常に大きい売上額が無くなりますが収益は改善されるためプラス材料とみています。
利益は2014、2015年に大幅下落していますがこれは円安による価格転嫁の遅れと物流費(人件費)の上昇が主要因です。
為替による影響の大きさが見てとれるため足元の円高局面は相当な追い風になると思います。

<定性的観点>
①成長ストーリーはあるか?
商社のため特徴的なストーリーはありません。
②成長余地はあるか?
首都圏においてシェアはトップクラスであるが、それでもマーケットシェアは3.6%。
まだまだ開拓余地はある。by社長
③不況耐性があるか?
外食に特化しているため、不況になると影響は少なくないと思いますが、
リーマンショック時は黒字で推移しているため悪くないですね。
④ビジネスの堀は深いか?
ほぼなし。強いて言うなら下記2つ。
1つはスイッチングコスト。
外食向けであることから競合が同一食材を用意できなければ、
食材が変わると味に変化が出てしまうためスイッチングコストがあると思います。
2つ目は加工した食材の提供。
自社工場や関係工場で外食向けに加工された食品(下ごしらえは済んでいるが味付けはされていない) を提供できるのも、
スーパーに食品を卸す商社には無い機能。
⑤株価上昇の触媒はあるか?
円高は好材料だが、円高メリット株という認知度が薄いため触媒にはならないか。
<定量的観点>
⑥PERは適正以下か?(成長率15%の場合、PERの適正水準は15倍が目安)
PER:6.9倍
低成長株、しかも昨年は赤字となっていて低評価。格安。
商社セクターは低PERが当たり前なので、格安と評価しない人がいて、しかるべきだと思いますが、
総合商社のような唐突で巨大な、投資案件の減損はないし、
販売先は国内企業なので、海外(特に中国)に販売する商社とは売上債権回収のリスクも薄いし、(EX.江守商事や昭光通商)
海外子会社の不正が明るみに出て、巨額損失計上もありませんので、(EX.エクセル)
商社だから低PERは当てはまらないと考えます。
⑦PBRは2倍以下か?
0.71倍
ちなみに14億の有価証券を持っていますが、
その内、6億強はハブの株で、10%も保有しています。
久世にとって大きい顧客の1社のようで株を保有することで関係を強め、
大量に食材を販売しているんだろうと思われます。
⑧CFはどうか?(PCFRとリーCF倍率を確認)
営業CFは大方プラスです。
現金を多く持っているのでここは心配していません。

※Jan.になっていますが、Mar.です。
⑨有利子負債が純利益の5倍までか?
有利子負債:27億
現金が38億あるため実質無借金です。
⑩ROICは高い値を維持しているか、あるいは改善されているか?
3.8→3.9→0.2→▲3.0→3.42%
利益率が低く、低水準。
<競争力調査(同業他社との相対評価)>
⑪売上成長率(5年CAGR)
当社:3.0%
⑫営業利益率(5年平均)
当社:-6.6%
⑬販管費率(5年平均)
当社:16.5%
競合が外食向け卸以外に小売店も運営しているため比較対象から外します。
<その他>
⑭リスク要因は?
円安への巻き戻し。
不況になり、外食産業が不振。
低流動性リスク。
⑮配当や株主還元は?
配当利回り:1.73%
⑯まとめ
円安による業績不振から急回復しているものの、
株価に反映されておらず、更に足元の円高も追い風になると思います。
バリューエーションは非常に割安で業績の急回復が予想されるため、
ローリスク・ミドルリターンで非常に魅力的な投資先だと思います。
2016年3月 | 1Q | 2Q | 3Q | 4Q |
売上 | 16,502 | 17,273 | 18,348 | 15,070 |
原価 | 13,747 | 14,305 | 15,077 | 12,242 |
売上総利益 | 2,755 | 2,968 | 3,271 | 2,828 |
販管費 | 2,885 | 2,869 | 2,984 | 2,644 |
営業利益 | (130) | 99 | 287 | 184 |
経常利益 | (90) | 172 | 307 | 204 |
純益 | (63) | 176 | 212 | 160 |
2015年3月 | 1Q | 2Q | 3Q | 4Q |
売上 | 16,373 | 17,300 | 18,376 | 16,140 |
原価 | 13,718 | 14,385 | 15,272 | 13,416 |
売上総利益 | 2,655 | 2,915 | 3,104 | 2,724 |
販管費 | 2,834 | 2,959 | 3,080 | 2,813 |
営業利益 | (179) | (44) | 24 | (89) |
経常利益 | (140) | (36) | 56 | (79) |
純益 | (102) | (41) | 40 | (309) |
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