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エスラインの銘柄分析


9078 エスライン

岐阜県を地盤にトラック運送と3PLを運営する物流企業。



指標が割安で1Qが78%増益となっており、「割安×業績カタリスト」の投資です。

指標
PER: 11.26
PBR: 0.71
時価総額:143億
含み資産:30億




ポイント1:物流業界が好調。好地合いに乗って業績好調。上方修正も期待できる?
ポイント2:積極投資で来期は自力成長期待
ポイント3:指標が割安(含み資産:30億)



ポイント1:物流業界が好調。好地合いに乗って業績好調。上方修正も期待できる?


エスラインの個別業績を見る前に業界全体に値上げが波及していることを確認していきます。
これは全日本トラック協会が算出している「運賃指数」というデータがあるので容易に確認できます。

これを見ると調査開始以来、緩やかに上昇が続いていて、
17年11月頃からヤマトと佐川の値上げがキッカケとなり、上昇基調がかなり強くなり、
18年3月に日本郵便が値上げを打ち出したことや中堅物流企業も値上げに追随し、
平成30年度は全ての月で最高値(同月ベース)を記録しています。
加えて7月は中国地方の大雨の影響で線路が寸断され、JRの貨物列車が長期に渡り運休になりました。
JRの貨物列車の代替はトラック輸送しかないため、トラック業界は特需に沸いており、運賃指数も8月と9月は過去最高値を更新しました。

エスラインのIR曰く、運賃単価の上昇は上昇分が利益に直結するので利益率が大きく改善するとのことです。
過去の運賃指数と業績が必ずしも連動しているわけではないようですが、非常に良い需給状況と言えそうです。




次に個別の内容を見ていきます。
先ほど中堅どころも値上げが浸透していると書きましたが当社も例に漏れず、値上げが上手くいっています。
昨年から全顧客に5%の値上げを打ち出し、前期末時点で45%の顧客が値上げを受諾。年間を通して5.6億円の値上げによる増収となりました。


そして今年の1Qは60%の客先が値上げを受諾し、前年同期比で値上げによる増収幅が5億円に達しました。
前期は1年を通して5.6億が値上げ分の増収でしたが、今期は3ヶ月で5億の増収になっており、値上げのインパクトが大きくなっていることがわかります。
尚、値上げにより粗利率は1.54%改善し、(5.85%→7.39%)
営業利益率は1.55%改善しました。(2.28%→3.83%)
たかだか1.55%の改善ですが、元々が2.28%と低いため非常に大きな差を生んでいます。

1Qの営業益+78%増の背景は上記の値上げによる利益率の改善が要因であり、
一過性の要因ではないため2Q以降も好調な業績が持続すると思います。



次に上方修正の可能性についてですが、
エスラインは2Qと3Qが繁忙期になり、業績が偏重します。
2Qは飲料や家電配送(特にエアコン)の増加が業績偏重の要因です。
今年8月の家電の国内出荷額は過去10年で最高を記録し、とりわけエアコンは猛暑の影響で前年同期比13.1%で大幅増になりました。
値上げの促進、運賃指数の高さ、家電配送増で2Qの業績も1Qに続き、期待できそうです。
閑散期の1Qで進捗率が27%まで進んでいるため、2Qも狙い通りに良い形で終えているなら上方修正も期待できそうです。

・過去の四半期決算




ポイント2:積極投資で来期は自力成長期待


今期は値上げ浸透で大幅増益が期待できそう?ですが、積極的な投資も行っていて、自力成長も期待できると考えます。

本年11月稼働のスワロー急送本社物流センター(建設費用:9億)は現有の2拠点を集約し、延べ床面積は現有2拠点の2倍になる見込みです。
(現有の2拠点の内、1つは老朽化で取り壊し、もう一つは敷地が道路拡張用地にかかった)
この新拠点は利益率の高い3PL事業の物流倉庫になります。
現有2拠点からの継続案件がありますし、倉庫の耐用年数は長いので費用が先行するようなことはないと見ています。
3PL事業(物流アウトソーシング)は人手不足関連として時流に乗ってるので早期に満庫になるよう期待したいです。

エスラインギフ豊田第2センターは当面は全棟を自動車関連部品を扱う客先に賃貸するようで、不動産事業扱いになるようです。
これは建設後、すぐに利益貢献する形になります。




ポイント3:指標が割安(含み資産:30億)


下記表はトラック物流企業の比較表になります。
まず物流企業が総じて好調だということが見て取れると思います。

私がエスラインを選んだのは同業他社比較でもかなり割安な部類で、
1Qの増益率が高く、PEGレシオ的に妙味を感じました。

少し脱線しますが岡山県貨物運送にも投資をしています。
これは割安であることと、岡山県の大雨洪水による物流需要を最も享受できる企業だからです。

※上記表は8月中旬に作成した当時のデータです
※値上げの有無は決算短信と四季報で確認できたところのみ丸をつけています
※複数の事業を行う会社は物流事業を抜き出して記載したり、していなかったりしています


エスラインに話を戻しますが、当社は不動産事業も行っています。
その不動産の価値が簿価は9.6億の評価ですが、
不動産鑑定評価基準で算出された時価は39.6億と有報に記載されています。
つまり含み資産が30億あることになります



・有報抜き出し


結論

目標株価:2600円

EPSの伸びと利益率の改善がカタリストになり、割安水準の訂正が行われ、PBRが2倍(1.42倍)になるという目論見です。
含み資産の存在と不景気時でもそこそこ収益が見込める安定性のため下値は高く、低リスク、ミドルリターンの投資になると考えます。

株価:1,297円
PER:11.26
PER:0.71(含み資産考慮後PBR:0.61)
配当利回り:1.15%
優待利回り:0.77%(クオカード:1,000円)


余談:
トラック業界は物流業界の根幹を担っているわけですが、
運転手の高齢化や人手不足、ECによる需要増など将来的にトラック輸送の供給不足が懸念されており、実は国交省からの後押しを猛烈に受けています。
運送会社が抱える問題は「荷待ち」、「ラストマイル」、「人手不足」なわけですが、
そこにメスを入れるべく、標準貨物自動車運送約款の改正トラガール推進プロジェクトトラック輸送における取引環境・労働時間改善協議会の設置ダブル連結トラックの推進等を国交省が自ら旗振り役になり、積極的に進めています。
標準貨物自動車運送約款の改正は物流企業の利益率の改善に寄与していますし、
連結トラックが普及すれば生産効率は大幅に向上すると思います。
最近の物流業界は3PLで顧客(ドラッグストア、コンビニ)をうまく確保した一握りだけが勝ち組(丸和運輸など)でした。
ECの普及によるトラック需要の増加と国交省からの後押しを受けて、辛酸をなめてきた低利益率業界が大きな追い風に乗っていると思います。

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コメント

No title

化学男さん、はじめまして。いつもブログ参考にさせてもらっています。
エスラインの銘柄分析とても面白かったです。
ところで台風21号の被害についてはどうお考えでしょうか?
こちらの記事「https://weekly-net.co.jp/news/40854/」を読むとトラックの被害もかなり大きかったようですが、エスラインにも影響があると思いますか?

Re: No title

コメントありがとうございます。
記載頂いた情報は初見だったので教えて頂いて有難いです。

ご質問の件はIRより下記のように回答がありました。

台風21号では関西空港にある営業所が復旧まで閉鎖になりました。
 また、神戸市東灘区にあります神戸東支店は施設及び車両に浸水し、1週間ほど業務に支障がありました。
 なお、現在(回答日は9/26でした)はいずれも通常営業しております。

車両のダメージについては言及がなくわかりません。
岐阜県が本拠地なので、懸念されている車両の
ダメージは軽微だったのかなとは思っています

No title

返信ありがとうございます。

この件についてIRに問い合わせようと考えていたのですが、すでに問い合わせて回答をいただいているとは流石です。

IRからの回答を見ると業績への影響は少ないように感じますね。
本拠地が岐阜、業務に支障があったのは2つの営業所・支店のみという事を考えると、おっしゃるとおり車両へのダメージは軽微だったと考えるのが妥当ですね。

質問に答えていただきありがとうございました。
今後もブログとツイッターの更新楽しみにしています。

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プロフィール

化学男

Author:化学男
某化学企業勤務のアラサー男子です。
バリュー投資で38歳までに資産一億円を目指します!

メインの投資手法は
本質的価値より過小評価されていて、
半年以内に明らかとなる触媒があり、
「過小評価 → フェアバリュー」という形で水準訂正を狙う手法です。
MUSTではないですがPBR:1倍以下の株を好みます。

パフォーマンス
2016年:+52.9%(5/1~12/31)
2017年:+81.1% 
2018年:+52.5%
17年アッパーマス層に到達

Twitter: @Investment_kabu

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